東京都で産業廃棄物収集運搬業を始める、または許可を更新するには、複雑な手続きと要件をクリアする必要があります。この記事では、新規申請から更新、手数料、審査機関、産廃免許税まで、必要な情報をわかりやすく解説します。
産業廃棄物収集運搬許可とは?

許可の必要性と対象範囲
産業廃棄物収集運搬業を営むには、事業を行う区域を管轄する都道府県知事、または政令市長の許可が不可欠です。この許可制度は、廃棄物の適正な処理を確保し、生活環境の保全と公衆衛生の向上を図ることを目的としています。
許可は、廃棄物の種類、運搬方法、保管場所などが法令の基準に適合しているかを厳格に審査するものです。無許可で産業廃棄物の収集運搬を行うことは法律で禁じられており、違反した場合には厳しい罰則が科せられます。対象となるのは、事業活動に伴って生じた20種類の産業廃棄物と、特別管理産業廃棄物です。これらの廃棄物を自社の事業場から処理施設まで運搬する場合や、他の事業者の産業廃棄物を収集して運搬する場合に許可が必要となります。許可の取得にあたっては、廃棄物に関する専門的な知識や、運搬車両、保管場所などの基準を満たす必要があります。
許可の種類:新規・更新・変更
産業廃棄物収集運搬業の許可には、事業開始時に必要な「新規許可」、許可の有効期限が満了する際に必要な「更新許可」、そして事業内容に変更が生じた場合に申請する「変更許可」の3種類が存在します。
新規許可は、文字通り初めて産業廃棄物収集運搬業を始める際に必要となる許可であり、事業計画や体制、廃棄物の種類、運搬方法、保管場所など、事業全体に関する詳細な審査が行われます。
更新許可は、許可の有効期限(通常5年)ごとに、継続して事業を行うために必要な手続きです。 更新の際には、過去の事業実績や法令遵守状況などが審査されます。変更許可は、事業所の所在地、代表者、役員、運搬車両、保管場所などの事業計画に変更があった場合に、その内容を届け出るために必要な許可です。変更の内容によっては、許可の取り直しが必要となる場合もあります。
東京都における産業廃棄物収集運搬許可の申請
窓口 | 郵送 | |
---|---|---|
新規・更新・変更許可申請 | 〇 | 〇 |
事前計画書 | 〇 | × |
変更届 | 〇(予約不要) | 〇(予約不要) |
廃止届 | 〇(予約不要) | ※ |
欠格事項該当届 | 〇(予約不要) | ※ |
優良産廃処理業者認定申請 | 〇 | ※ |
二以上の事業者による産業廃棄物処理の特例認定申請 | 〇 | ※ |
※注:郵送をご希望の場合は、事前に電話でご確認ください。
予約なく郵送された場合は受付できない場合があります。
申請書類の準備
東京都で産業廃棄物収集運搬許可を申請する際には、多岐にわたる書類の準備が求められます。まず、事業計画書は、事業の全体像を示す重要な書類であり、収集運搬する廃棄物の種類、運搬ルート、運搬方法、保管場所などを詳細に記載する必要があります。
収集運搬車両に関する情報も、車両の種類、登録番号、車検証の写しなどを提出する必要があります。
保管場所の情報としては、保管場所の所在地、面積、構造などを明らかにする書類が必要です。これらの情報に加えて、申請者の知識や技能を証明するために、講習会修了証の提出も必須です。東京都環境局のウェブサイトで公開されている最新の申請様式と記入例を参考に、正確かつ丁寧に書類を作成しましょう。不備があると審査に時間がかかったり、最悪の場合、申請が却下される可能性もあります。
申請手数料と支払い方法
東京都における産業廃棄物収集運搬許可の申請には、手数料が発生します。手数料の額は、申請の種類(新規、更新など)や、収集運搬する廃棄物の種類数によって異なります。具体的な手数料の額は、東京都環境局のウェブサイトで確認することができます。
手数料の支払い方法は、原則として東京都が指定する金融機関への振り込みとなります。申請書類を提出する前に、必ず手数料を納付し、領収書または振込証明書を申請書類に添付する必要があります。手数料の納付を怠ると、申請が受理されないため、注意が必要です。また、一度納付した手数料は、原則として返還されませんので、申請内容を十分に確認してから納付するようにしましょう。
区分 | 新規許可申請 | 更新許可申請 | 変更許可申請 | ||
---|---|---|---|---|---|
積替え保管を除く | 積替え保管を含む | ||||
産業廃棄物 | 収集運搬業 | 81,000円 | 42,000円 | 73,000円 | 71,000円 |
特別管理産業廃棄物 | 収集運搬業 | 81,000円 | 43,000円 | 74,000円 | 72,000円 |
産業廃棄物 | 処分業 | 100,000円 | 94,000円 | 92,000円 | |
特別管理産業廃棄物 | 処分業 | 100,000円 | 95,000円 | 95,000円 |
申請の流れと審査期間
東京都における産業廃棄物収集運搬許可の申請は、まず必要書類を準備し、東京都環境局に提出することから始まります。書類に不備がなければ、申請は正式に受理され、審査が開始されます。 審査では、事業計画の内容、申請者の適格性、廃棄物の処理方法などが詳細に検討されます。
審査期間は、申請の種類や内容によって異なりますが、通常数ヶ月程度かかることが一般的です。審査の過程で、東京都から追加資料の提出や説明を求められる場合があります。 求められた場合には、速やかに対応するようにしましょう。審査の結果、許可基準を満たしていると判断されれば、許可証が交付されます。 許可証の交付後、産業廃棄物収集運搬業を開始することができます。
許可取得後の注意点

定期的な報告義務
産業廃棄物収集運搬業の許可を取得した後も、事業者には様々な義務が課せられます。その中でも重要なのが、産業廃棄物の処理状況や保管状況について、定期的に東京都に報告する義務です。具体的には、年間の産業廃棄物の排出量、運搬量、処理量などを報告する必要があります。
報告の頻度や様式は、東京都の条例や規則によって定められています。報告を怠ったり、虚偽の報告を行った場合には、許可の取り消しや罰則の対象となる可能性があります。日頃から適正な処理を行い、記録をしっかりと保管しておくことが重要です。 また、東京都が実施する立入検査に協力する義務もあります。これらの義務を遵守することで、適正な産業廃棄物処理に貢献し、社会からの信頼を得ることができます。
変更が生じた場合の届け出
産業廃棄物収集運搬業の許可を受けた後、事業所の所在地、代表者、役員、収集運搬車両、保管場所などに変更が生じた場合は、速やかに東京都に届け出る必要があります。変更があったにもかかわらず、届け出を怠った場合には、行政指導や罰則の対象となることがあります。 届け出が必要な変更事項は、東京都の条例や規則で定められています。
例えば、事業所の移転、代表者の交代、役員の変更、運搬車両の増減、保管場所の変更などが挙げられます。届け出の際には、変更内容を証明する書類を添付する必要があります。変更の種類によって必要な書類が異なりますので、事前に東京都環境局のウェブサイトで確認しておきましょう。届け出は、原則として変更が生じた日から30日以内に行う必要があります。 迅速かつ正確な届け出を心がけましょう。
許可の更新手続き
産業廃棄物収集運搬業の許可には有効期限があり、通常5年ごとに更新手続きを行う必要があります。更新手続きは、許可の有効期限が切れる数ヶ月前から受け付けられます。 更新を希望する場合は、期限切れになる前に必ず手続きを行いましょう。期限切れになると、許可が失効し、再度新規申請が必要となるため注意が必要です。 更新手続きでは、過去の事業実績や法令遵守状況などが審査されます。更新申請に必要な書類は、新規申請時とほぼ同様ですが、過去の事業実績に関する書類などが追加される場合があります。
東京都環境局のウェブサイトで最新の情報を確認し、余裕を持って準備を進めるようにしましょう。更新手続きをスムーズに行うためには、日頃から法令を遵守し、適正な処理を行っていることが重要です。
東京都 産業廃棄物許可に関する相談窓口
東京都環境局廃棄物対策課
東京都における産業廃棄物収集運搬許可に関する相談窓口として、まず挙げられるのが東京都環境局 廃棄物対策課です。廃棄物対策課では、申請に関する一般的な質問や、個別の相談に対応しています。 許可の要件、申請書類の書き方、手続きの流れなど、様々な疑問に対応してくれます。電話や窓口での相談が可能ですが、事前に予約が必要な場合があります。
東京都環境局のウェブサイトで連絡先や相談方法を確認しましょう。また、過去の相談事例やQ&Aなども掲載されているため、参考にすると良いでしょう。相談窓口を積極的に活用することで、申請手続きをスムーズに進めることができます。
産業廃棄物協会
産業廃棄物協会は、産業廃棄物処理に関する情報提供や、講習会などを実施している団体です。東京都にも支部があり、産業廃棄物処理業者向けの様々な支援を行っています。 許可取得に関する相談にも対応しており、専門的なアドバイスを受けることができます。
また、産業廃棄物処理に関する最新の情報や、法令改正に関する情報も提供しています。 講習会では、産業廃棄物に関する知識や技術を学ぶことができます。産業廃棄物協会は、産業廃棄物処理業者のスキルアップや、法令遵守を支援する重要な役割を担っています。会員になることで、より多くのサービスを受けることができます。
まとめ:東京都での産廃許可取得・更新をスムーズに行うために
この記事では、東京都における産業廃棄物収集運搬許可の新規取得と更新について、重要なポイントを解説しました。産業廃棄物収集運搬業の許可は、事業を行う上で不可欠なものであり、その手続きは複雑で時間もかかります。しかし、この記事で解説したように、申請書類の準備、手数料の支払い、申請の流れ、許可取得後の注意点などをしっかりと把握し、計画的に準備を進めることで、許可取得・更新をスムーズに行うことが可能です。
また、東京都環境局や産業廃棄物協会などの相談窓口を積極的に活用することも重要です。これらの機関は、許可取得に関する様々な情報やアドバイスを提供してくれます。この記事が、東京都で産業廃棄物収集運搬業を営む皆様の許可取得・更新のお役に立てれば幸いです。